2014年11月15日土曜日

『月と六ペンス』サマセット・モーム ★★★★☆

初、モーム。
おもしろい。



お人好しオランダ人が嫁を寝取られて、
結局その嫁がフられて自殺するところまで一気に読んでしまった。
(大事な展開なので、白文字。選択で反転。)






この小説は、
村上春樹の『ノルウェイの森』に出てくる永沢さんのモチーフ、
になってる気がする。


村上春樹、モーム好きなんでしょうね。
こんな引用もするよん。



「新しいものは読まないの?」
「サマセット・モームならときどき読むね」
「サマセット・モームを新しい作家だなんていう人今どきあまりいないわよ」
(村上春樹『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』)










ところで、
太田光は村上春樹を批判しますね。



あれは太田の、村上に対する嫉妬に似たもの
そして、
村上春樹を絶賛するミーハー共に対しての同族嫌悪です。

それが村上春樹に対する批判として表現されちゃったんですね。



でもきっと太田さん本人も、それを織り込み済みで村上を批判してるんでしょうね。







太田は、
「本を読んでる」村上春樹が好き。
ヴォネガットとか、フィッツジェラルドとかサリンジャーとか。

同時に「本を読んでない」くせに、ミーハーで、村上春樹を絶賛するヤツが嫌い。



そーいうヤツと一緒にされたくないから、もう、あえて、逆に(?)
村上春樹を批判するんや。



可愛さ余って、憎さ百倍。とはこのことかしら。




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あと、開高健の作品もモームの影響受けてる気がする。



二律背反、清濁併呑。

そんなものが開高健のキーワードだとぼくは思ってる。


今回読んでたら、モームも似たこと言うてる!
おもしろー。



開高がモームに言及してる印象あんまないけど、
語らんかったこそ、大きい影響受けてる可能性はあるよな。




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読んでるうちに、類比とか対比がアタマに浮かんできて、
知識と知識がつながり、
それをこうやって今文章にしてる。



でもホントに自分にとって「デカい」作品は、
こんな風に読み終わったあとに語るものがないんですよね。
おもしろすぎて、どこから、なにから、なにを語ればいいのか分からない。



そういう意味ではこの作品は星5つではないのかも。





でもおもしろい。
人生を豊かにしてくれる作品だった。すばらし!