京大卒のニート、phaさんが
村上春樹の創作方法
でまとめてたのがきっかけ。
『国境の南、太陽の西』村上春樹 ★★★★☆
おもしろい。
『ノルウェイの森』に似たリアリズム小説ですね。
最後の一文のパンチ力。
『夢を見るために毎朝ぼくは目覚めるのです 村上春樹インタビュー集』★★★★★
これはおもしろ。
村上春樹の仕事論、って感じです。
仮に人間が家だとします。一階はあなたが生活し、料理をし、家族と一緒にテレビを見る場所です。2階にはあなたの寝室がある。そこで読書をしたり、眠ったりします。 そして地下室があります。それはもっと奥まった空間で、ものをストックしたり、道具を置いたりしてある空間です。ところがこの地下室のなかには隠れたべつの空間もある。それは入るのが難しい空間です。というのも、簡単には見つからない秘密の扉から入っていくことになるからです。しかし運が良ければあなたは扉を見つけて、この暗い空間に入って行くことができるでしょう。
そこでは奇妙なものをたくさん目撃できます。目の前に、形而上学的な記号やイメージや象徴がつぎつぎに現れるんですから。それはちょうど、夢のようなものです。けれどもいつか、あなたは現実世界に帰ってこなければいけない。その時は部屋から出て扉を閉じ、階段を昇るんです。本を書く時僕は、こんな感じの暗くて不思議な空間の中にいて奇妙な無数の要素を眼にするんです。
それは象徴的だとか、形而上学的だとか、メタファーだとかシュールレアリスティックだとか、言われるんでしょうね。でも僕にとって、この空間の中にいるのはとても自然なんことで、それらのものごとはむしろ自然なものとして映ります。こうした要素が物語を書くのを助けてくれます。ちょうど、目覚めながら夢を見るようなものです。それは論理をいつも介入させられるとは限らない、法外な経験なんです。
夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです。
『ねじまき鳥クロニクル』三部作 村上春樹 ★★★☆☆
インタビューで村上春樹が語っていましたが、村上春樹がホントに力を入れたいのはシュールレアリスム(不思議な世界に主人公が行っちゃう)らしーです。
『1Q84』とか『海辺のカフカ』とかですな。
リアリズム(主人公が不思議な世界に行っちゃわない)作品もオレは書けるんだぜって書いたのが『ノルウェイの森』。
それがヒットしたんですよね。
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『ねじまき鳥』は…、なんだかな、という感じです。
村上春樹は「物語が終わったという感覚」が物語の終わりには大切
とインタビューで言っていたけど、それがあまりない。
『海辺のカフカ』も不思議な物語だけど、あの作品にはそれがあったように思う。
村上さんはこの作品をどういうふうに自分の中で位置づけてるんやろう?
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あと村上春樹のハードワーカー具合には驚く。
みっちり集中して午前中に仕事は終わらすとのこと。
そして午後は十キロぐらい走る。ついでに泳ぐ、エトセトラエトセトラ。
仕事をするのに身体性は大事って言ってた。
大事なのかな。
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橋下徹さんの秘書に
「橋下徹のなにがスゴイか?」
みたいな質問をしたら
「体力」と返ってきたらしい。
その心は、
「いや、もう、そら、すごいとこは色々あるけど、あんなけハードワークやのに会議とかで背もたれ使わんと座ってるんがまず真似できひん。」
ということ。
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為末大の断食日記、みたいなのもおもしろい。
8月15日 7時 おとといくらいから、決まって7時に目が覚める。明るくなったら体が反応するって感じだ。こういう自然な反応とかが出始めるのが断食の効果なのだろうか。 体の調子が良くなるという人が多いが、正直なところ普段とそれほど変わらなかった。むしろ合宿中の方が、体に疲労感はあれども、調子はいい。 昨年の暮れはトレーニングも少なく、外食とそれからお酒が多かったが、日々エネルギーがわく感じがしなかった。極端に言うと、生きてるなあという実感が無い状態。 もしかすると普通、現代人はあんな状態で、断食を経る事で、アスリートのトレーニングがうまくいっている時のような日常的な状態に入るのかもしれないと思う。 そうだとしたら断続断食とトレーニングの組み合わせの方がいいんじゃないだろうか。数千年前の人類の古来の生活スタイルではあるだろうし。昼からおかゆを食べる事にする。やっぱり身体性みたいなものは大事なのかなと思う。
走ろう。
『約束された場所で』 村上春樹 ★★★☆☆
村上春樹によるオウム真理教元信者に対するインタビュー。
頭だけで考え、論理的整合性ばっかりに囚われてる人がオウム信者に多いと分析してる。
人間は論理的に考える力と同時になにかを直感的に信じる力を同時に持たないといけない。
信者たちは「信じるもの」を自分の体験的に、感覚的に養ってきたものじゃなく、麻原彰晃に預けちゃってる感じがあるとのこと。
人間の心奥底にはブラックボックスがある。
それを解析するのも大切だけど、
同時にそのブラックボックスを何かの物語に沈めて、その物語で表現するのも大切。
その2つを同時にやらないとバランス感覚に欠けて、危険。
って、春樹さん言ってた。
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佐藤優の『人間の叡智』が去年読んだ本では印象的だった。
それは唯名論と実在論の概念を知れたから。
目に見えるものがパワーを持つのか
見えないものこそリアルなのか
明文化された法律だけが本当なのか
それとも人の心が大事なのか
論理的整合性を重視するか
直感と皮膚感覚がものをいうのか
佐藤はどっちも大事って言う。
もっとどっちの力も鍛えないとネ、って言う。
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これって村上春樹の言うてることと一緒やんな。
点と点がつながった、いい読書でした。