おんもしろい、
『三体』がヤバ面白すぎたので、なんだか現代SFにハマってしまった。
作者は超寡作、中国系アメリカ人の、SF作家、テッド・チャン。
ーーー
どの物語も
「過去も未来も変えられない」「人に自由意志はない」「宇宙は有限」「エントロピーの増大は止められない」
という暗い前提から、
それでも人間謳歌をうまいこと引き出していて、すごい。
ーーー
『商人と錬金術師の門』
が一番最初の話で、これが、良い。
千夜一夜物語(アラビアンナイト)風の雰囲気がスバラシー。
物理学者のキップ・ソーンが理論的に考えた
「アインシュタインの相対性理論と矛盾しないタイムマシン」→タイムマシンでは過去を変えられないこと→自己矛盾のない単一の時間線しか存在しないこと
から着想を得たとのこと。
説教臭くなくて、ディズニー見てるみたいで、かつブラックで、良い導入。
ーーー
『ソフトウェア・オブジェクトのライフサイクル』
AIのハナシ。題名もいいね。
これまた哲学的な疑問に焦点を当てた物語ではなく、
俗っぽい、恋や親子間のイライラを
(人間×人間、もしくは人間×AI)で描いてる。
しかもそのドラマが、全然おもしろい。
AIの哲学的疑問に焦点をあてる、んじゃなくて、
ドラマティックじゃない、AIの土臭さがいい。
「内向的で、思い込みが強い」性格を与えたAIが勉強得意になる、
というのが印象的、わろた、示唆的。
ーーー
『偽りのない事実、偽りのない気持ち』
2つの物語が同時並行で進んでいくのが、ドラマティックでおもしろい。
人間の記憶の曖昧さ、
人格は記憶の集積で出来ているのに、
その根拠の記憶が、事実と180度違うことがある。
その「事実」を突きつけられたときの人間のリアクションと、
動物としての人間にとって、
「事実」と「真実」ついての物語が、
アメリカの離婚家庭の父娘関係と、
ナイジェリアの近代化しつつある部族
を題材に描かれてる。
要するにおもしろい。
ーーー
題名一覧。
備忘として。
『商人と錬金術師の門』→「未来も過去も変えられない」アラビアンナイト風物語。
『息吹』→「エントロピーの増大は止められない」、成熟した異星人。
『予期される未来』→「自由意志はない」と証明するおもちゃ。ブラックユーモア。
『ソフトウェア・オブジェクトのライフサイクル』→AIとの親子関係、恋愛、
『デイシー式全自動ナニー』→子育て機械の失敗。あんまわからん。
『偽りのない事実、偽りのない気持ち』→人間の記憶の曖昧さ、記憶から人格は出来ているのに、その根拠の記憶が事実と180度違うことがある。おもしろい。
『大いなる沈黙』→オウムの話、あんまわからん。
『オムファロス』→前提が「宇宙創造論」。で、宇宙の中心が見つかって、信仰どうするか問題。の話。
『不安は自由の眩暈(めまい)である』→多世界解釈の有り得そうなバージョン、活劇。
ーーー
今、同じテッド・チャンの『あなたの人生の物語』も読んでるけど、
『息吹』は大森望の訳が良い。
並行して(村上春樹訳)のレイモンド・チャンドラー『ロング・グッドバイ』
も読んでることもあって、
訳の大切さに初めて気がついた。
って思ってたけど、『息吹』の方もよーわからん話あるな。
『あなたの人生の物語』にも素晴らしいのんあったしな。
記憶は曖昧だ。
ーーー
来年は(2021年)は、
たくさん読んで、たくさん勉強して、たくさん書いて、たくさん描きたい
と思うけれど、難しいでしょう。
それでも、前向きに、やってこー。