昔(と言っても今年)手にとったけど、難しくて読むの諦めました。
でも、めちゃくちゃ短いハナシなんですね、これ。
簡単に読める。
短くて古風なおもしろい物語を読めるし
漢文調の物語読んでる俺カッケー、になれて一石二鳥。
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内容は、
ある優秀な官吏がいたとさ。
でもなそいつにはすごい弱点があんねん。
傲慢。
詩がちょっと人より書けんねんけど、それがいかんかった。
フツーに仕事も結構できる人やってんけど、自分に才能があると思って仕事辞めちゃいます。
でも、まあ売れませんよね。売れません。
でも嫁子ども養わなアカンから、昔の職場に出戻り。
ほんじゃあ昔見下してた奴らが上司になっちゃってんねんな。
もう悔しくて悔しくて。
でも、どうしようもない。
ある日の晩、狂って大声出しながら夜の闇の消えていきます。
この主人公には1人、友だちがおります。
その友だちがある日、山の中を歩いててん。
その山は人食い虎が出ることで有名。
まー出くわしますよね、そのトラに。
でもそのトラの挙動がおかしい。
ばって出てきたのに、その友だちの顔を確認したら、さって草むらに隠れる。
その友だち
「(なんやこれ)」「(…。)」「(え、あの狂った主人公ちゃん…!)」
と思って、くさむらに声かけました。
すると「せやねん…」とのこと。
友人、びっくりして「なんでそんなんなったん!?」
って聞いたら
「何故こんな運命になったか判らぬと、先程は言ったが、しかし、考えように依れば、思い当たることが全然ないでもない。人間であった時、己は努めて人との交わりを避けた。人々は己を倨傲だ、尊大だといった。実はそれが殆ど羞恥心であることを、人々は知らなかった。勿論、會ての郷党の鬼才と言われた自分に、自尊心がなかったとは云わない。しかし、それは臆病な自尊心というべきものであった。己は詩によって名を成そうと思いながら、進んで師に就いたり、求めて詩友と交わって切磋琢磨に努めたりすることをしなかった。かといって、又、己は俗物の間に伍することも潔しとしなかった。ともに我が臆病な自尊心と、尊大な羞恥心との所為である。己の珠に非ざることを怯れるが故に、敢て刻苦して磨こうともせず、又、己の珠なるべきを半ば信ずるが故に、碌々として瓦に伍することも出来なかった。己は次第に世と離れ、人と遠ざかり、憤悶と慙恚によって益々己の鬱なる臆病な自尊心を飼いふとらせる結果になった。人間は誰でも猛獣使であり、その猛獣に当るのが、各人の性情だという。己の場合、この尊大な羞恥心が猛獣だった。虎だったのだ。」
素敵な文章。
と同時に怖い文章。
まだ虎のセリフは続きますが、割愛。
ワタクシは、己の猛獣をちゃんと御しきれているのかしら。