ぼくはアンダーグラウンドな世界をみるのが好き。
『ウシジマくん』に似た良さがありました。読後感が(いい意味で)悪い。
タイトルもいい。
たしか『犯罪』のほうにこんなオハナシがありました。
主人公はイリーナという東欧の十代の女の子。
物語はイリーナがレイプされるところから始まります。
戦争のせいで家族は全員死んじゃったけど、お兄ちゃんだけが戦争から帰ってきた。
そんな大好きなお兄ちゃんと、荒れた祖国の、それでも清浄な家の近くの湖のほとりで将来の夢の話をしていました。
裁縫の学校に行って、自分のささいなお店を持つという夢です。
家に帰る道の途中で、違和感。
2人を、戦争帰りの若者たちが取り囲みます。
そのグループは兄を殺し、その妹イリーナを輪姦しました。
イリーナは絶望して、湖で入水自殺を図るも失敗。
はっきりしない頭で「歩けるところまで歩こう」と決意。
行き着いた先はドイツ。
死ねないから生きる。
生計を立てるために売春に身を堕とし…
というのが物語の始まり。
とても短い話でなおかつこの作者の書き方が簡明、平易、ハードボイルドで写実的。
多分この話は実話に基いていて、イリーナに似たような理不尽な境遇の人なんてなんぼでもいるはず。
『罪悪』というタイトルの意味は
こんな現実を知らずに暮らしているぼくたち私たちの「罪悪」
なの、かも。ですねー。
のうのうと何も知らず暮らしてる自分はヤクザにも劣らない非道なことをしてる気になります。
『世界と戦う「読書術」』で佐藤優が橋下徹に言及していました。
橋下徹さんは自分のことを「朝日」に書かれて相当頑張っていたけど、「沖縄の売春をもっと活用して欲しい」と言って問題になりましたね。
自分よりもっと差別されている人たちを考える想像力が少ないんですよ。
とのこと。
うーん、確かに、確かに。
ハシモトさんもすきだけど、サトウさんのほうがもーっと好きです。
いやそんなことないです、どっちも好き。