2014年9月5日金曜日

『夏の闇』開高健 ★★★★☆

開高健、「闇」三部作の二作目。再読。
ちきりんのおすすめでもあります。

ぼくは一作目の「輝ける闇」のほーが好きかもしれない。



この二作目は「眠り」の文学であります。
「小説家は食べ物と女を描けたら一人前」という言葉がありますが、この作品はそれに加えて「眠り」の描写がたくさんあります。

開高健にとっても実験的な作品なんでしょうか。


一作目では、
「読者は難解なことが書いてある小説をありがたがる」
ということを主人公に言わせ、そのあと主人公がベトナムのお坊さんと実在論のお話をぶつ、ということを開高はしていました。

『夏の闇』に難解なものはなかったかなー。


でも難解なものをありがたがる、という性癖はなんだかダメなような気がする。
反省しよう。







開高の小説は引用がうまいのが特徴ですね。
開高自身が引用の達人なんでしょうね。


ゲーテの

なべてのいただきに
憩いあり


べつのところでは、インドネシアかスコットランドかどこかの漁師の歌で

男は
働かにゃならぬ
女は
泣かにゃならぬ

ふふふ、すばらしいアフォリズム。





マンガ『死に至る病』キェルケゴール ★★★☆☆

「闇」三部作といい
『死に至る病』といい、すごい中2病全開の題名です。
それがまたいいんですよ…フフ



佐藤優はマルクスとキェルケゴールを対比してたな。
プロテスタント神学生はキェルケゴールを好むけど、佐藤はマルクスの方が好みらしい。

マルクスとキェルケゴールって全然畑違いの人に思えるけど。
おもしろい、そんな対比が可能なんですね。